「筋トレを1日2回に分けたら、もっと効率よく鍛えられるのでは?」
トレーニングを続けていると、そんな方法に興味を持つことがあります。
1日のトレーニングを2回に分ける方法は、一般に「ダブルスプリット」と呼ばれます。午前と夕方で鍛える部位を分けたり、筋トレと有酸素運動を別々の時間帯に行ったりする方法です。
結論から言えば、ダブルスプリットはトレーニング量や1回あたりの質を管理するための選択肢にはなります。しかし、「1日2回やれば2倍の効果が出る」という方法ではありません。
特に40代以降では、運動量を増やすことだけでなく、睡眠・食事・疲労・関節への負担まで含めて考えることが大切です。
この記事では、ダブルスプリット法の基本から、メリット・デメリット、筋トレと有酸素運動を組み合わせる場合の考え方まで整理します。
30秒セルフチェック|ダブルスプリットを考える前に
- □ すでに筋トレを継続している
- □ 1回のトレーニングが長くなりすぎている
- □ 後半になると集中力やフォームが崩れやすい
- □ 筋トレと有酸素運動の両方を行いたい
- □ 睡眠と食事をある程度確保できている
- □ 翌日まで強い疲労が残ることは少ない
反対に、運動習慣を始めたばかり、睡眠不足が続いている、疲労や痛みが抜けないという場合は、1日2回へ増やすより、まず現在のトレーニングを安定して続けられる状態を作ることを優先した方がよいでしょう。
ダブルスプリット法とは?
ダブルスプリット法とは、1日に行うトレーニングを2回のセッションに分ける方法です。
たとえば、次のような組み方があります。
例1:筋トレを部位で分ける
- 午前:胸・肩など
- 夕方:脚・背中など
例2:筋トレと有酸素運動を分ける
- 午前:筋力トレーニング
- 夕方:ウォーキングなどの有酸素運動
ポイントは、単純に「運動を2倍にする」のではなく、長くなったトレーニングを分割したり、異なる目的の運動を分けたりすることです。
筋力トレーニングと持久系トレーニングを同じ計画の中で行う方法は、研究では「コンカレントトレーニング」として検討されています。
ダブルスプリット法には本当に効果がある?
ここは誤解されやすいところです。
1日2回トレーニングすること自体に、特別な筋肥大効果が保証されているわけではありません。
筋力や筋肥大は、トレーニング頻度だけではなく、総運動量、強度、回復、栄養など複数の条件によって変わります。
一方で、筋トレと有酸素運動を組み合わせることについては、近年の研究でかなり整理が進んでいます。
2026年に発表された複数のメタ解析をまとめたアンブレラレビューでは、筋力トレーニングと持久系運動を組み合わせても、筋力・パワー・筋肥大は筋力トレーニング単独とおおむね同程度で、有酸素能力については組み合わせることで改善が期待できると報告されています。
つまり、一般的な運動実践者であれば「有酸素運動もしたら筋トレが全部無駄になる」と考える必要はありません。
ただし、運動の種類、量、頻度、強度、トレーニング経験などによって結果は変わります。特に競技レベルで最大限の筋力やパワーを追求する場合と、健康づくりを目的にする場合では考え方を分ける必要があります。
ダブルスプリット法のメリット
1.1回のトレーニングを短くしやすい
一度に多くの種目を行おうとすると、トレーニング時間が長くなります。
そこで全体を2回に分ければ、1回あたりの運動時間を短くできます。
後半になるほど集中力が落ちる人や、一度に長時間を確保しにくい人には、この「分ける」という考え方が役立つ場合があります。
2.異なる目的の運動を分けられる
筋力トレーニングと有酸素運動の両方を行いたい場合、1回ですべて済ませようとすると長時間になりがちです。
朝と夕方などに分ければ、それぞれの目的に集中しやすくなります。
筋トレと有酸素運動のどちらを優先するべきか迷っている方は、こちらも参考にしてください。
筋トレと有酸素運動、痩せるのはどっち?40代の私が最後に気づいた本当に大切なこと
3.トレーニング量を分散できる
競技やトレーニング経験によっては、ある程度の運動量を確保したい場合があります。
その量を一度に詰め込むのではなく、複数のセッションへ分散するという考え方ができます。
ただし、ここで大切なのは分割することと、総運動量をむやみに増やすことは別だという点です。
ダブルスプリット法のデメリット
1.疲労が積み重なる可能性がある
1回目の運動から十分に回復しないまま2回目を行えば、当然ながら疲労は増えます。
「朝に運動できたから、夜も追い込もう」と毎回考えていると、ダブルスプリットというより単純な運動量の増加になってしまいます。
翌日のパフォーマンスが明らかに落ちる、普段より疲労感が強い、睡眠に影響する、といった変化が続くなら、運動量を見直す材料になります。
2.生活全体がトレーニング中心になりやすい
1日2回となれば、着替え、移動、準備、食事などを含めて時間が必要です。
仕事や家庭生活を圧迫して睡眠時間まで削ってしまえば、本末転倒です。
続けられることは、トレーニング方法を選ぶうえで重要な条件です。
3.「多いほど効く」という発想になりやすい
私自身も運動を続けていますが、運動量を増やすことに意識が向くと、「もっとやった方がいい」と考えやすくなります。
しかし、身体づくりは運動だけで完結しません。
トレーニング、食事、睡眠、休養がそろって初めて継続できます。
ダブルスプリットを取り入れるなら、「もう1回できるか」ではなく、「もう1回やっても、その後きちんと回復できるか」を考えたいところです。
筋トレと有酸素運動は同じ日にしてもいい?
筋トレと有酸素運動を同じ日に行うこと自体が、直ちに問題になるわけではありません。
筋力トレーニングと持久系運動を組み合わせた研究では、両方の能力を改善できることが示されています。
ただし、「筋力を最大限伸ばしたい」「持久力を最優先したい」など目的が明確なら、順番や運動量を考える意味があります。
過去のメタ解析では、同一セッションで筋力トレーニングを先に行った方が、下半身の動的筋力には有利だったという結果も報告されています。一方、2026年のより広範なレビューでは、順番による明確な差は確認されず、筋力や筋肥大を優先する場合に筋トレを先にする方が有利かもしれない、という程度に整理されています。
ですから、一般的な健康づくりでは順番を神経質に考えるより、自分が最も重視する運動を、疲れていない状態で行うという考え方が実践的です。
ダブルスプリット法は40代にも向いている?
年齢だけで「40代だからダブルスプリットはダメ」と決める必要はありません。
ただし、健康維持やダイエットを目的にしている人が、必ず1日2回トレーニングする必要もありません。
WHOは成人に対して、週150〜300分の中強度有酸素運動、または週75〜150分の高強度有酸素運動、それに加えて週2日以上の筋力トレーニングを推奨しています。
これは「1日に2回運動しなければ健康効果が得られない」という意味ではありません。
まずは週単位で、自分に必要な運動を継続できる形にする。そのうえで、1回が長すぎる、筋トレと有酸素運動を分けたい、といった明確な理由が出てきたら、ダブルスプリットを選択肢にすれば十分です。
40代の筋力低下について詳しく知りたい方はこちらもどうぞ。
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40代で取り入れるなら「2回とも全力」にしない
ダブルスプリットという言葉から、「朝もハード、夜もハード」という方法を想像するかもしれません。
しかし、健康づくりやダイエットが目的なら、毎回そうする必要はありません。
たとえば筋トレを中心にする日なら、もう一方は軽めの有酸素運動にする。逆に長めの有酸素運動を行うなら、筋トレ量を調整する。
大切なのは、2回行ったという事実ではなく、週全体で運動と回復のバランスを取ることです。
こんな人はダブルスプリットを急がなくていい
- 筋トレを始めたばかりの人
- 現在のメニューでも強い疲労が残る人
- 睡眠時間を削らなければ2回できない人
- 痛みや違和感がある人
- 「2回やれば早く痩せる」という理由だけで始めようとしている人
ダイエットでは、運動量だけ増やせば必ず体脂肪が落ちるわけではありません。食事を含めたエネルギーバランスや、長く継続できる生活習慣も重要です。
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ダブルスプリットを検討するときの5つのポイント
- 目的を決める
筋肥大、筋力、競技、有酸素能力、健康維持など、何のために2回へ分けるのかを明確にします。 - いきなり運動量を倍にしない
まずは現在行っている運動を分割するという考え方から始めます。 - 優先する運動を決める
筋力を優先するなら、疲労の少ない時間帯に筋トレを配置するなど、目的に合わせます。 - 睡眠と食事を軽視しない
トレーニング回数だけ増やして、睡眠や食事がおろそかにならないようにします。 - 疲労を見て調整する
予定通り2回行うことより、その日の状態に応じて減らす判断も大切です。
ダブルスプリットとダイエットの関係
「1日2回運動すれば、それだけ早く痩せる」と考えるのはおすすめできません。
運動によるエネルギー消費は体重管理に役立ちますが、体脂肪の変化は食事を含めた長期的なエネルギーバランスに左右されます。
私自身、筋トレや有酸素運動を増やせば増やすほど簡単に痩せると思っていた時期がありました。しかし、運動後に食欲が強くなり、結果として食べる量まで増えてしまった経験があります。
だから今は、運動量だけを見るのではなく、食欲、食事、睡眠まで含めて考えるようにしています。
体脂肪が増える仕組みから整理したい方はこちらの記事も参考になります。
あなたの脂肪はどうやって作られる?40代が知っておきたい体脂肪の仕組み
よくある質問(FAQ)
Q.ダブルスプリット法とは何ですか?
A.1日に行うトレーニングを2回のセッションに分ける方法です。筋トレを部位別に分ける方法や、筋トレと有酸素運動を別の時間帯に行う方法などがあります。
Q.筋トレを1日2回すると筋肉は2倍つきますか?
A.そのようには考えられません。筋肥大は1日のトレーニング回数だけでは決まらず、総運動量、強度、栄養、睡眠、回復など多くの要因が関係します。
Q.筋トレと有酸素運動を同じ日にしても大丈夫ですか?
A.一般的には組み合わせることができます。研究でも筋力トレーニングと持久系運動を組み合わせることで、筋力と有酸素能力の両方を改善できることが示されています。ただし、目的や運動量によって組み方は変わります。
Q.筋トレと有酸素運動はどちらを先にすればいいですか?
A.目的を優先して考えるのが分かりやすい方法です。筋力や筋肥大を重視するなら、疲労の少ない状態で筋トレを行う考え方があります。一方、健康づくりが目的なら、順番だけにこだわるより継続できることが重要です。
Q.初心者にもダブルスプリットは必要ですか?
A.必須ではありません。まずは継続できる筋力トレーニングと有酸素運動の習慣を作る方が優先です。
Q.40代になったら1日2回の運動は避けるべきですか?
A.年齢だけで一律に決める必要はありません。ただし、現在の体力、運動経験、睡眠、疲労、痛みの有無などを見ながら調整することが大切です。
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おすすめする人・おすすめしない人
ダブルスプリットを検討しやすい人
- すでに継続的な運動習慣がある
- 1回のトレーニングが長くなりすぎている
- 筋トレと有酸素運動の両方を計画的に行いたい
- 睡眠・食事・休養を確保できる
- 明確なトレーニング目的がある
急いで取り入れなくてもよい人
- 運動を始めたばかり
- 現在の運動量でも疲労が強い
- 睡眠時間が不足している
- 痛みや違和感を抱えている
- 短期間で痩せることだけを目的にしている
商品について
ダブルスプリット法そのものを行うために、特別な食品や器具を購入する必要はありません。
まず優先したいのは、トレーニング計画、食事、睡眠、休養です。そのため、この記事では内容と直接関係のない商品を無理におすすめしません。
まとめ|1日2回より「なぜ2回に分けるのか」が大切
ダブルスプリット法は、1日のトレーニングを2回に分ける方法です。
うまく使えば、1回のトレーニング時間を短くしたり、筋トレと有酸素運動を分けたり、必要な運動量を管理したりする方法の一つになります。
一方で、1日2回行うだけで筋肉が2倍ついたり、体脂肪が2倍の速さで落ちたりするわけではありません。
特に40代以降に大切にしたいのは、回数そのものより「運動したあとに回復できているか」です。
私も運動を続ける中で、やればやるほどよいわけではないと感じるようになりました。頑張れる日は頑張る。しかし、休むべき日は休む。食べること、眠ることも含めてトレーニングだと考える。
ダブルスプリットを取り入れるなら、「1日2回やった」という満足感ではなく、自分の目的にとって本当に必要なのかを考えて使う。それが、長く運動を続けるための一番大切なポイントだと思います。
免責事項
本記事は一般的な健康・運動情報の提供を目的としたもので、個別の診断や治療を目的とするものではありません。運動による反応には個人差があります。痛みや体調不良がある場合、治療中の場合などは、無理に運動を続けず、必要に応じて医療専門職へご相談ください。
参考文献・参考リンク
- World Health Organization. Guidelines on physical activity and sedentary behaviour.
- Held S, et al. Maximizing Adaptations in Concurrent Training: An Umbrella Review of Meta-analyses. Sports Medicine. 2026.
- Eddens L, et al. The Role of Intra-Session Exercise Sequence in the Interference Effect: A Systematic Review with Meta-Analysis. Sports Medicine. 2018.
- Wilson JM, et al. Concurrent training: a meta-analysis examining interference of aerobic and resistance exercises. Journal of Strength and Conditioning Research. 2012.

