「甘酒は飲む点滴」と聞いたことはありませんか。
昔から日本で親しまれてきた甘酒ですが、最近は発酵食品としての健康効果や美容、腸内環境との関係にも注目が集まっています。
なかでも米麹から作る甘酒は、砂糖を加えなくても驚くほど甘いのが特徴です。
では、その甘さはどこから来るのでしょうか。そして、米麹甘酒を毎日飲むことで、どのような健康効果が期待されているのでしょうか。
一方で、「甘酒は健康にいいからたくさん飲んでも大丈夫」「ダイエット中に飲めば痩せる」と考えるのは少し違います。
米麹甘酒にはブドウ糖を中心とした炭水化物が含まれ、しっかりエネルギーもあります。
大切なのは、甘酒を万能な健康食品として扱うのではなく、どんな特徴があり、どんな働きが期待され、どう飲めば毎日の生活に生かしやすいのかを知ることです。
この記事では、米麹甘酒の栄養、「飲む点滴」と呼ばれる理由、腸や肌についての研究、ダイエット中の取り入れ方まで順番に見ていきます。
- 米麹甘酒とは?酒粕甘酒とは何が違う?
- なぜ米麹甘酒は「飲む点滴」と呼ばれるの?
- 米麹甘酒の栄養|100gで約76kcal
- 米麹甘酒に期待されている健康効果
- 健康効果① 腸内環境・便通への働きが期待されている
- 健康効果② 肌のうるおいとの関係も研究されている
- 健康効果③ エネルギー補給に使いやすい
- 健康効果④ 麹由来の成分には、まだ研究の余地がある
- 米麹甘酒はダイエットにいい?
- 「砂糖不使用=糖質が少ない」ではない
- 甘酒を飲むと血糖値はどうなる?
- ダイエット中の米麹甘酒|おすすめの取り入れ方
- 朝・昼・夜、いつ飲むのがいい?
- 温めてもいい?冷たいままでもいい?
- 毎日飲んでもいい?
- 米麹甘酒を選ぶときのポイント
- 米麹甘酒についてよくある質問
- 関連記事
- こんな人に米麹甘酒は取り入れやすい
- 量や飲み方に注意したい人
- 参考文献・参考情報
- まとめ|米麹甘酒は「昔ながら」だけではない、面白い発酵飲料
- 免責事項
米麹甘酒とは?酒粕甘酒とは何が違う?
まず知っておきたいのが、甘酒には大きく分けて「米麹甘酒」と「酒粕甘酒」の2種類があることです。
米麹甘酒は、ご飯や米に米麹と水を加え、麹菌が作った酵素の働きを利用して作ります。
米に含まれるでんぷんが分解され、ブドウ糖などの糖に変わることで、砂糖を加えなくても自然な甘みが生まれます。
一方の酒粕甘酒は、日本酒を造った後に残る酒粕を水で溶き、砂糖などを加えて作るのが一般的です。
名前は同じ「甘酒」でも、原料も作り方もかなり違います。
この記事では、主に米麹から作る甘酒について解説します。
なぜ米麹甘酒は「飲む点滴」と呼ばれるの?
米麹甘酒を紹介するときによく使われるのが「飲む点滴」という言葉です。
これは医学的に「点滴と同じ効果がある」という意味ではありません。
米麹甘酒には、水分とブドウ糖を中心とした炭水化物が含まれ、飲み物としてエネルギーを補給しやすい特徴があります。
麹の酵素によって米のでんぷんが糖へ分解され、甘みが生まれる。そのため、昔から体力を消耗したときなどにも親しまれてきました。
「飲む点滴」という呼び名は、こうした飲みやすさとエネルギー補給のしやすさを表した愛称と考えると分かりやすいでしょう。
米麹甘酒の栄養|100gで約76kcal
文部科学省の日本食品標準成分表では、甘酒100g当たりの主な栄養成分は次のようになっています。
- エネルギー:約76kcal
- 炭水化物:18.3g
- たんぱく質:1.7g
- 脂質:0.1g
- 食物繊維:0.4g
ビタミンB1、B2、B6、葉酸、ナイアシンなども含まれていますが、「ビタミンが非常に豊富な飲み物」と過大に考える必要はありません。
むしろ米麹甘酒の大きな特徴は、米のでんぷんが麹の働きによって糖へ変わり、自然な甘みを持つことです。
砂糖を加えていない商品でも甘いのは、このためです。
米麹甘酒に期待されている健康効果
米麹甘酒については、単なる伝統飲料としてだけではなく、近年さまざまな健康面との関係が研究されています。
まだ研究数が十分多い分野ではありませんが、特に注目されているのが、腸内環境、便通、肌の状態、糖代謝などとの関係です。
ここからは、現在どのような働きが期待されているのかを見ていきます。
健康効果① 腸内環境・便通への働きが期待されている
米麹甘酒で特に興味深いのが、腸との関係です。
麹甘酒には、発酵・糖化の過程で生まれるさまざまな成分が含まれています。
農林水産省の発酵食品に関する資料でも、麹を利用した食品に含まれるオリゴ糖などは腸内細菌の栄養となり、腸内環境への働きが期待されています。
さらに、麹甘酒を使ったヒト試験も行われています。
便通回数が少ない成人を対象としたランダム化二重盲検プラセボ対照試験では、麹甘酒を摂取したグループで排便頻度の改善が報告されました。
一つの研究だけですべての人に同じ効果があるとは言えませんが、米麹甘酒と腸内環境・便通との関係は、今後さらに研究が期待される分野です。
健康効果② 肌のうるおいとの関係も研究されている
甘酒は「美容にいい」と紹介されることもあります。
そのすべてを鵜呑みにする必要はありませんが、麹甘酒と肌については人を対象とした研究があります。
健康な成人女性を対象としたランダム化二重盲検プラセボ対照試験では、麹甘酒を一定期間摂取したグループで、頬の水分量などに良い変化が報告されています。
麹や米に由来するグルコシルセラミドなどの成分が研究されています。
「甘酒を飲めば肌がきれいになる」とまで言い切ることはできませんが、肌のうるおいやバリア機能への働きが期待されているのは興味深いところです。
健康効果③ エネルギー補給に使いやすい
米麹甘酒にはブドウ糖を中心とした炭水化物が含まれています。
これはダイエットでは気をつけたい部分ですが、逆に見れば、エネルギー補給をしたいときには使いやすい特徴です。
食欲がなく固形物を食べにくいときや、運動などでエネルギーを消費した後など、飲み物として摂れる点は米麹甘酒の長所です。
ただし、体調不良時の栄養補給については状態によって適した食事が異なります。体調が悪いときに甘酒だけで済ませる、という意味ではありません。
健康効果④ 麹由来の成分には、まだ研究の余地がある
米麹には、麹菌の働きによってさまざまな酵素や代謝産物が生まれます。
米麹甘酒についても、オリゴ糖、グルコシルセラミド、アミノ酸、有機酸など、さまざまな成分が研究されています。
研究段階のものも多いものの、日本で長く飲まれてきた食品が、現代になって改めて科学的に調べられているのは面白いところです。
昔から「体にいい」と言われてきた理由が、少しずつ科学的に見えてきている、と考えるといいでしょう。
米麹甘酒はダイエットにいい?
ここは、かなり誤解されやすいところです。
米麹甘酒そのものが、飲むだけで体脂肪を減らしてくれるわけではありません。
しかし、使い方によってはダイエット中の食生活に取り入れやすい飲み物です。
例えば、お菓子や砂糖をたっぷり使った甘い飲み物を頻繁にとっている人なら、その一部を少量の米麹甘酒に替えるという考え方があります。
自然な甘みが強いため、少量でも甘いものを飲んだ満足感を得やすい人もいるでしょう。
「甘酒を追加して痩せる」のではなく、今まで食べていたもの・飲んでいたものとの置き換えで考えるのがポイントです。
体脂肪を減らす基本については、除脂肪ダイエット|筋肉をできるだけ維持しながら体脂肪を減らす考え方も参考にしてください。
「砂糖不使用=糖質が少ない」ではない
ここは覚えておきたいところです。
米麹甘酒には、砂糖を加えなくても甘みがあります。
しかし、「砂糖不使用」と書いてあるから糖質がほとんどない、という意味ではありません。
米のでんぷんが麹の酵素によって分解され、ブドウ糖などが生まれているからです。
文部科学省の食品成分表では、甘酒100g当たりの炭水化物は18.3g、エネルギーは約76kcalです。
商品によって濃さや栄養成分は違うので、購入するときは栄養成分表示も確認すると分かりやすいでしょう。
甘酒を飲むと血糖値はどうなる?
「甘酒は発酵食品だから血糖値が上がりにくい」と思われることがありますが、米麹甘酒にはブドウ糖が含まれています。
そのため、飲めば血糖値がまったく上がらない飲み物ではありません。
一方で、麹甘酒については食後血糖や糖の吸収に関係する成分も研究されています。
研究レビューでは、健康な成人を対象とした小規模な比較試験で、米シロップと比較した際の食後血糖・インスリン反応について興味深い結果が報告されています。
ただし、これは「甘酒なら血糖を気にせず飲める」という意味ではありません。
糖代謝に不安がある人や治療中の人は、一般的な健康情報だけで量を決めず、医師や管理栄養士などに相談してください。
ダイエット中の米麹甘酒|おすすめの取り入れ方
ダイエット中なら、甘酒を健康食品として追加するより、毎日の食生活の中で役割を決めておくと使いやすくなります。
- 甘い飲み物の代わりに少量楽しむ
- 間食をとるなら、ほかのお菓子との合計で考える
- 濃い甘酒は水や無糖の豆乳などで割って楽しむ
- 商品を選ぶときは「砂糖不使用」だけでなく栄養成分表示を見る
- 健康効果を期待して大量に飲まない
米麹甘酒は甘みが強いので、「健康にいいから」と水のように飲むより、甘みのある食品として楽しむくらいの位置づけがちょうどいいでしょう。
朝・昼・夜、いつ飲むのがいい?
米麹甘酒について、「朝でなければいけない」「夜に飲むと効果が高い」と決まっているわけではありません。
朝食に少量加える。
仕事や家事の休憩に飲む。
運動後の補食の一部として使う。
このように、自分の生活に合わせれば十分です。
ダイエット中なら「何時に飲むか」以上に、一日の食事全体に追加されるエネルギー量を意識した方が大切です。
温めてもいい?冷たいままでもいい?
米麹甘酒は冷たくても温かくても楽しめます。
冬は温めると飲みやすく、夏は冷やして飲むとすっきりします。
「健康効果を得るには必ずこの温度」というものはありません。
熱すぎない、飲みやすい温度で楽しめば十分です。
毎日飲んでもいい?
米麹甘酒は食品なので、一般的には普段の食生活へ取り入れることができます。
ただし毎日飲むなら、量だけではなく「何の代わりに飲むのか」まで考えたいところです。
普段の食事に毎日そのまま追加すれば、その分エネルギーや炭水化物も増えます。
甘い飲み物や間食の代わりにするなど、食生活全体の中で位置づけると続けやすくなります。
米麹甘酒を選ぶときのポイント
市販の甘酒は商品によってかなり違います。
選ぶときは、パッケージのイメージだけではなく次の部分を確認してみてください。
- 米麹タイプか酒粕タイプか
- 砂糖が追加されているか
- 100ml・1本当たりのエネルギー
- 炭水化物・糖質量
- 1本の容量
「砂糖不使用」という言葉だけで健康的と判断せず、実際の栄養成分を見る習慣をつけると選びやすくなります。
米麹甘酒についてよくある質問
Q.米麹甘酒にはアルコールが入っていますか?
米麹から作る甘酒は、米と米麹を糖化させて作るタイプで、一般的にはアルコールをほとんど含まないものとして販売されています。ただし商品によって製法や表示が異なるため、必要な場合は商品表示を確認してください。
Q.甘酒は「飲む点滴」だから栄養豊富なのですか?
「飲む点滴」は医学用語ではなく愛称です。水分とブドウ糖などを含み、飲み物としてエネルギーを摂りやすい特徴を表した言葉と考えると分かりやすいでしょう。
Q.甘酒を飲むと腸内環境が良くなりますか?
麹甘酒と便通については、ヒトを対象としたランダム化比較試験で改善が報告されています。オリゴ糖など腸内細菌との関係が期待される成分も含まれていますが、すべての人に同じ変化が起こるとは限りません。
Q.甘酒には美容効果がありますか?
麹甘酒の摂取と肌の水分量などを調べたヒト試験があり、良い変化が報告されています。肌のうるおいやバリア機能への働きが期待されていますが、甘酒だけで肌の状態が決まるわけではありません。
Q.ダイエット中でも飲めますか?
飲むことはできます。ただし米麹甘酒には炭水化物とエネルギーがあります。「健康にいいから追加する」のではなく、甘い飲み物や間食との置き換えとして考えると取り入れやすいでしょう。
Q.甘酒を飲めば痩せますか?
甘酒だけで体脂肪が減るとは考えない方がいいでしょう。米麹甘酒の良さは、発酵食品として研究されている成分を含み、自然な甘みのある飲み物として食生活に取り入れやすいところにあります。
関連記事
こんな人に米麹甘酒は取り入れやすい
- 甘酒の自然な甘みが好きな人
- 日本の発酵食品を食生活に取り入れたい人
- 甘い飲み物の選び方を見直したい人
- 腸内環境や便通に関心がある人
- 無理なく続けられる食習慣を増やしたい人
量や飲み方に注意したい人
- 糖質・エネルギー摂取について医療上の管理が必要な人
- 血糖値について治療や指導を受けている人
- 甘酒を飲むことで普段の食事に余分なエネルギーが増えやすい人
治療中の病気がある場合や食事療法を行っている場合は、健康記事だけで判断せず、医療専門職へ相談してください。
参考文献・参考情報
- 文部科学省 食品成分データベース「甘酒」
- 農林水産省「にっぽん伝統食図鑑|飲料・甘酒」
- Intake of Koji Amazake Improves Defecation Frequency in Healthy Volunteers
- Koji amazake Maintains Water Content in the Left Cheek Skin of Healthy Adult Women
まとめ|米麹甘酒は「昔ながら」だけではない、面白い発酵飲料
米麹甘酒は、米と麹の働きによって自然な甘みを生み出す、日本の伝統的な飲み物です。
ブドウ糖を中心とした炭水化物を含むため、エネルギー補給に使いやすく、「飲む点滴」という愛称で呼ばれてきました。
さらに近年では、便通や腸内環境、肌のうるおいなどとの関係についてヒトを対象とした研究も行われています。
昔から飲まれてきた甘酒に、現代の科学が少しずつ追いついてきている。
私は、そこが米麹甘酒の面白いところだと思います。
一方、自然な甘みがあるということは、炭水化物とエネルギーも含むということです。
「健康にいいからたくさん飲む」ではなく、甘い飲み物や間食との付き合い方を考えながら、食生活の中に上手に置く。
ダイエット中ならなおさら、そのくらいの距離感がちょうどいいでしょう。
日本で古くから飲まれてきた一杯を、今の自分の生活に合う形で楽しむ。
米麹甘酒は、40代からの食生活に取り入れてみたくなる、興味深い発酵飲料の一つです。
免責事項
本記事は一般的な健康・栄養情報を提供するものであり、特定の病気の診断、治療、予防を目的とするものではありません。治療中の病気がある場合、服薬中の場合、糖質やエネルギー摂取について医療上の管理が必要な場合は、医師・管理栄養士などの専門家にご相談ください。


